
衣装を「プラスチックの素材」で造形し、塗装する場合は「透けている衣装」をどう表現するかは難しい点です。
この記事では
- なぜ「透け」が起きるのか
- 「透けが起きやすい場所」「置きにくい場所」
そしてついでに
- 筆者が普段行っている透け塗装の方法
を紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
透け について
「透け塗装」の方法を学ぶにあたって、まず「なぜモノは透けるのか」について知っておくのも良いと思います。
「透け」とは簡単に言うと
下地の色が、上地を通過して目に届くこと
を指します。
「色」というのは↓の画像のように「光(色)が物体に反射して、自分の目に跳ね返ってきた」時に認識できます。

で、「光」には「物体を通過する性質」が備わっているので「上地が光を良く通すモノだった場合」には「透け」が起こりやすいです。
ここからは「光が通過しやすい(透けやすい)モノ・状況」を見ていきます。
光の当たり方
「色とは」「透けとは」を上で説明した通り、「透けは光の透過・反射によって起こるもの」です。
なので
光がたくさん当たると、反射する光も多くなって結果的に「下の色」も透ける
となります。
我々は普段「上から光を浴びる」という環境で暮らしているかと思いますが、そうなると↓のように「上部ほどよく透けて」「下部はあまり透けない」となります。


当ブログの需要に沿って説明すると「おっぱい」は「デコルテ(胸上部)」はよく透けて、下部はそんなに透けないという感じです。

透けやすい色
下の記事の「色による隠蔽力」と通じるものがあるのですが、「下の色を透けさせやすいか否か」は「色の種類」によっても変わります。
色には
- 「光を通しやすい色(光を弾きやす色)」
- 白・黄・オレンジ など
- 「光を通しにくい色(光を良く吸う色)」
- 黒・グレー・緑 など
があるのですが、その「光を通しやすい色」は「下地の色」を透かしやすいです。

質感(素材)
「モノ質感(素材)」によっても「透け感」は変わります。
これは、光の「正反射」「乱反射」に関係しています。
- 【正反射】
- 表面に凹凸の無い滑らかなもので起こる反射
- 光を素直に反射させやすい
- 【乱反射】
- 表面がザラザラ・凸凹しているもので起きる反射
- 光がめちゃくちゃに反射する

当ブログでもよく扱う「プラモデル」で言うと「光沢塗料を使うと、下の傷が目立つようになる」というのは、まさに光が「下地の傷の凹みまで正しく反射させているから」なんですね。

下地との距離
「光が上地を透過して、下地の色を透けさせる」なら、当然「上地と下地の距離は近い方が透けやすい」です。

「物との距離」があると光を正しく反射させずらくなりますが「布などの介在物」があると、よりそれが顕著に感じられますね。
以上の説明の通り
- 光の当たり方
- 色
- 質感(素材)
- 下地との距離
によって「透け感」は変わってきます。
透けやすい状況
- 【光の当たり方】
- よく当たっている
- 【色】
- 上地の色が薄い色(白・黄色など)
- 【質感(素材)】
- ツルツル・サラサラ
- 【下地との距離】
- 近い、密着している
透けにくい状況
- 【光の当たり方】
- 光があまり当たっていない
- 【色】
- 上地の色が濃い色(黒・グレーなど)
- 【質感(素材)】
- ザラザラ・デコボコ
- 【下地との距離】
- 遠い、ぶかぶか
透けが起きる場所・起きにくい場所
「透けのメカニズム」が分かったところで、製作により重要な「透けが起きやすい場所」と「透けが起きにくい場所」をより具体的に見ていきます。
体の隆起している場所
体の隆起している部分は、「隆起=他の部分より服に密着」しているので「透け」も起きやすいです。

代表的なのが
- 鎖骨
- 女性の胸(乳房)
- 腹筋
- 上前腸骨棘
- 膝 ......など
です。

布の薄い場所
「薄い布」「引っ張られるなどして布が薄くなっている場所」などは透けが起きやすいです。


布は引っ張られると、繊維が伸びて密度が下がります。
(面積は引っ張られて伸びますが、繊維自体は引っ張られても増えないからです)
「引っ張り」と「透け」の関係は
- 引っ張られる
- 繊維の間に隙間ができる
- 繊維の隙間から「下地の色の反射」が通りやすくなる
という感じです。
「ストッキング」などは分かりやすいですね。

透けやすい色の場所
上の「透けやすい色」でも書きましたが、色の中にも「透けやすい/透けにくい」があります。
例えば「白」や「オレンジ」「明るい青」などの場合は、「材質・質感」にもよりますが透けが起きやすいと考えて良いでしょう。

塗れている場所
「水などによって濡れている場所」は透けやすくなります。

これには
- 水分で「凸凹」が埋まる
- 体(下地)に密着しやすくなる
という理由があります。
水分で「凸凹」が埋まる
布(衣服)というのは、どれだけスベスベツルツルしているように見えても「微細な凸凹(繊維)」が存在します。

これが水で濡れると、水分が「凸凹を埋める役割」を果たして、布の表面は「滑らか」になります。
「滑なか」になると「質感(素材)」で述べた「正反射」が起こりやすくなり、下の物を透けやすくなるのです。

下地(身体)に密着しやすくなる
「透け」は「上地(服)」「下地(身体)」の距離も重要ですが、服が濡れることによって「上地が下地に張り付く」ようになります。
これは「上地と下地の間に水分」が入り込むことで、「濡れた服」と「濡れた肌」がくっつくためです。

「表面が滑らかになる」「上地と下地が密着する」ことで「透け」が起きやすくなるんですね。
隆起している場所の前後左右(形の変わり目)
「隆起してる場所は透けやすい」と書きましたが、逆に「隆起している場所の前後左右」は透けにくいです。
理由は、隆起している場所の近くは「高低差」で「隙間(距離)」が生まれやすいのです。
これは「内側から掃除機で生地を吸っている」という場合でも無い限りは、「ぴっちりした衣装」でも起こる現象です。

なので「隆起している場所」の形の変わり目は「透けさせない意識」を持つと、リアリティのある「透け塗装」が出来るかと思います。
でも、物理に逆らってピッタリ張り付く透け衣装も良いですよね。全然それもアリだと思います。
凹んでいる場所
実質言っていることはすぐ上に書いた「隆起している場所の前後左右(形の変わり目)」と同じなのですが、「凹んでいる場所」も透けにくいです。
例えば「背中の脊柱起立筋」は凹んでいますが、ここにピッタリくっついた衣装(ボディスーツなど)は透けないようにすると「そのほかの透ける部分への説得力」が増すかもしれません。

裾・縫い目がある場所
服には「裾」や「縫い目」がありますが、そこは透けにくくなっています。
それらは「生地を折り返している」ので、他の部分と比べて「厚み」があるからです。


「厚みがある」=「下地の反射を通さない」ので、そういった場所の「透け」は避けておくと自然かもしれないです。
ざらざらしている場所
既に書きましたが「ざらざらした部分・素材」は「透け」が起きにくいです。

例えば同じ「タイツ」を塗装するにしても
- 【つるつるした質感のタイツ】
➔光が正反射を起こして、下地(脚)の色を通しやすい - 【ざらざらした質感のタイツ】
➔光が乱反射を起こして、取っ散らかって下地(脚)の色を通しにくい
と、質感によって「透けの有り無し」は変わってきます。

"しわ"のある場所
「しわ」が出来ている場所も、あまり透けません。

理由は「生地が重なることで厚くなる」「光が真っすぐ反射してくれない」などです。

透け塗装 の方法
ここからは「透け塗装」について書いていきます。
透け塗装も、他の多くの塗装同様「どのように塗っていくか」は多岐にわたります。
- どれぐらい透けさせるか
- パーツの形状
- 作業環境
- それぞれのやりやすい方法
などで用いる塗装方法は千差万別なので「この方法こそ、透け塗装の最適解だ!」と言えるものは無いと思います。
本当に「自分がやりやすい方法」で塗っていくのが一番だと思います。
一応、自分が普段行っている「透け塗装」は「先に肌を塗ってから、衣装を塗る」というものです。
が、人によっては「先に衣装を塗ってから、透ける部分を肌の色で塗る」という方法の方があっているかもしれないですし、別に「先に肌を塗る」「先に衣装を塗る」どっちでも良いと思います。
透け塗装の種類
- 【先に肌を塗ってから、衣装を塗る】
- 【先に衣装を塗ってから、透ける部分の下地(肌など)を塗る】
一応「筆者の主な透け塗装」の手順を紹介しますが、あくまでも「初心者に毛が生えた程度の人間のワークフロー」として読んでください。
既にお伝えしたように、私が普段行っている透け塗装は「先に肌を塗って、その上から『衣装の色』を塗る」という方法です。

この方法は「下地(肌)が透けている面積が多い」という「超スケスケな塗装」に向いていると思います。

肌の色を塗る
最初に肌を塗ります。

「透けない部分」に「衣装の色(普通の塗料)」を吹く
「透けが起きにくい部分」に「透けさせる衣装」と同じ色の普通塗料を細吹きします。


上の「透けが起きる場所・起きにくい場所」の「透けが起きにくい場所」参考にしてみてください。
透けない場所に「普通(ソリッド)塗料」を塗ることで、透ける部分の「説得力」や「存在感」が引き立ちます。
全体に「衣装の色」のクリアー塗料(または薄めた普通塗料など)を塗る
全体的に「衣装の色のクリアーカラー(薄めた普通塗料 など)」を吹きます。

これによって「下地」の色味を残しつつ「衣装の色を乗せる」ことができます。
「どれぐらいクリアー塗料などを吹くか」は、「どれぐらい透けさせたいか」によります。
「かなり透けさせたい」なら「1~2層吹く」ぐらいに済ませます。
「そこまで透けさせたいわけではない」なら、「下地を感じるか感じないか」ぐらいを狙って、何層も塗り重ねます。
この辺りは「お好み」で良いのですが「せっかく用意した下地」が潰れてしまわないように気を付けましょう。
まとめ
今回は「透け塗装」についての記事でした。
参考になっていれば幸いです。
「透け塗装」といっても、自分は「ぴっちりしたボディスーツ表現」しか今まで挑戦していないので「白い服からうっすら透ける、その下の服」を表現する透け塗装などでは、この記事に書いてあるでは不十分かもしれないです。
とはいえ「透けのメカニズム」自体は共通する部分だと思うので、何か役に立ちそうな所だけかいつまんで頂ければと思います。